トゥーフェイス:DCキャラクター超ガイド

トゥーフェイス:DCキャラクター超ガイド

バットマンの有名なヴィランの一人トゥーフェイス(Two-Face)。善と悪の二面性を持つ、現代のジキルとハイドの人物像に迫る!


Detective Comics #1022 (Cover: Lee Bermejo) ©DC Comics.

トゥーフェイスはどんな人物?

トゥーフェイスは、本名をハービー・デントといい、元々は善良な検事としてゴッサムシティの犯罪と戦っていた。しかし、ある裁判中にマフィアのボス、サル・マローニに酸をかけられたことで、顔半分が醜くただれ、それがきっかけで善悪二つの人格を持つトゥーフェイスへと変貌を遂げてしまった。トゥーフェイスは、両面が表になったコインを持ち歩いており、それを使ったコイントスで物事を判断する。コインは片側に傷がつけられており、傷のない面が出れば善の選択を、傷のある面が出れば悪の選択をする。善の一面はハービー・デントとして、悪の一面はトゥーフェイスとして二重人格が存在しており、作品によってはトゥーフェイスがハービーに打ち勝ち凶悪なヴィランへと変貌したり、ハービーがトゥーフェイスを抑えて正義のためにバットマンと共闘したりもしている。二重人格ゆえに「2」をキーワードにした犯罪に携わることが多い。

トゥーフェイスはヴィランにしては珍しく既婚者である。妻のギルダ(グレース)は初登場時はハービーのフィアンセだったが、作品によって、結婚していたり別れたりとそれぞれに描かれてきた。

1942年にDETECTIVE COMICS #66で初登場したトゥーフェイスは、ボブ・ケインとビル・フィンガーによって描かれた。ボブ・ケインは、このキャラクターを小説『ジキル博士とハイド氏』から着想を得たと語っており、特に1932年と1941年に作られた映画版は、彼に強いインスピレーションを与えている。

1989年の映画『バットマン』にてビリー・ディー・ウィリアムズが演じて初めて実写化されたが、この映画ではトゥーフェイスにはならず、あくまで検事としての役だった。その後1995年に映画『バットマン フォーエバー』でトミー・リー・ジョーンズが演じ、初めてトゥーフェイスとして実写化されることとなる。2008年の映画『ダークナイト』でも再び実写化され、アーロン・エッカートが検事のハービーと悪に堕ちたトゥーフェイスの二面を演じた。2014年のドラマ『GOTHAM/ゴッサム』でもシーズン1から何度か登場したが、こちらの作品でもトゥーフェイスになるまでは描かれなかった。

ジョーカー、ペンギン、キャットウーマンやリドラーと並ぶ、ゴールデンエイジから登場し続ける歴史の古い人気ヴィランだが、彼らと違い60年代のドラマ『バットマン』では登場しなかった。トゥーフェイスを登場させる企画はあったものの、シリーズが終了してしまい実現は敵わなかった。実現していれば、クリント・イーストウッドがトゥーフェイスを演じるはずだった。しかし、お蔵入りになった脚本は、2015年に『Batman ’66: The Lost Episode』としてコミック化され、それを元にしたアニメ映画『BATMAN vs. TWO-FACE』が2017年に製作されることとなった。

トゥーフェイスの特徴は…?

外見

トゥーフェイスは顔のちょうど半分が爛れているが、ほぼ全ての作品で左半分が醜悪な容姿となっている。初登場時は緑に描かれ、その後も緑で描かれることが多かったが、グレーや青で描かれたり、顔の筋肉が見えた生々しい状態で描かれたりもしている。頭髪も当初は元の茶髪のまま少しさかだつ程度だったが、黒髪や白髪、焼け落ちた半禿頭などで描かれてきた。

スーツも左右で色が分けられたものを着用していることが多く、初登場時は善側がオレンジ、悪側が紫だった。そのほか、白黒だったり緑だったり様々で、悪側にはチェックが入っていることも多い。

能力と武器

トゥーフェイスは特別なスーパーパワーは持っていない。彼の一番の武器は、頭の良さと法の知識である。一人で行動することも多いが、部下を従えて、ゴッサムシティの脅威となるギャングを結成する力量や人望も兼ね備えている。銃や火器の扱いにも長けており、バットマンやデスストロークから格闘術を習ったこともあった。

二重人格やコイントスといった彼の流儀は、相手の心理に恐怖を与える効果もあるが、時に判断力を鈍らせてしまうという弱点にもつながっている。

起源<オリジン>

1942年の初登場時からトゥーフェイスのオリジンは確立されていた。そして、そのストーリーはバットマンのヴィランの中でも最も有名な一つであり、大筋の変更は加えられずに現在まで語り継がれている。初登場時には彼の名前はハービー・「ケント」となっており、1949年にスーパーマンの本名クラーク・ケントとの混同を避けるために変更された。同じくマフィアの名前もマローニではなくモローニとなっている。

ハンサムなゴッサムの検事ハービー・ケントは、バットマンに捕らえられたマフィアのボス、モローニの裁判で検事を担当していた。幸運のお守りとしてモローニがいつも持ち歩く、両面表の1ドル銀貨が証拠として提示されると、激昂したモローニはケントの顔に酸をかける。これによりケントの顔半分は醜くただれ、その外見はフィアンセのギルダにも強いショックを与えてしまう。ギリシャ神話に登場するアポロに喩えられるほどの美男だった彼だが、事件によって美醜を兼ね備えた現代のジキルとハイドとなり、次第に怒りと憎しみに支配されていった。ケントは原因となった1ドル銀貨に傷をつけ、物事の判断をコイントスに任せることを思いつく。表が出れば善の勝ちで、優秀な外科医のエッカート医師が従軍から帰還するのをおとなしく待つ。裏が出れば悪の勝ちで、犯罪の道へ歩み出す…。こうして運命のコインは投げられ、ハービー・ケントはトゥーフェイスとなり、犯罪の道を突き進むことになるのだった。

フィアンセもキャリアも捨てたトゥーフェイスは日々コインを投げ続け、悪が出た日は凶悪な銀行強盗になり、善が出た日はギャングを襲ってチャリティーに寄付をする。その二面的な行動に、世間のトゥーフェイスへの評価も真っ二つに分かれていった。そして再び悪が勝ったある日、ついにバットマンはかつての盟友を倒すため、トゥーフェイスとの対決に臨む。映画館での劇的な死闘の後、ついにトゥーフェイスを追い詰めたバットマンは、このままトゥーフェイスを続けるか、それともケントに戻るかの選択を迫る。再びコインに結果を委ねたトゥーフェイスだったが、投げられたコインは直立し、ケントは自らの意思で選択をしなければならなくなるのだった…。

トゥーフェイスと関連が深いキャラクター達

バットマン

ギルダ(グレース)・デント

ジェイソン・トッド

デュエラ・デント

ポール・スローン

ジョーカー

トゥーフェイスの登場するコミックス

トゥーフェイスの初登場回

トゥーフェイスの犯罪!
The Crimes of Two-Face!
Detective Comics #66 (Cover: Jerry Robinson, Geourge Roussous) ©DC Comics.
今号で初登場したトゥーフェイスは、見た目もオリジンも現在のものと大きく変わっておらず、登場当時から完成されたキャラクターだった。映画館での対決シーンでは、バットマンがハービーを説得する中、スクリーンには残忍なトゥーフェイスが映し出されているという、トゥーフェイスの二面性を強調する演劇的な演出がなされている。
(DETECTIVE COMICS #66/1942年)
あらすじ
ハンサムなゴッサムの検事ハービー・ケントは、マフィアのボス、モローニの裁判を担当していた。ハービーが、両面が表になった銀貨を証拠として提示した時、モローニは彼の顔に硝酸をかけ、顔半分を醜くただれさせてしまう。自分の醜い姿に怒りと憎しみを募らせたケントは、銀貨の方面に傷をつけ、物事の判断をコイントスに任せるトゥーフェイスとなっていく。悪党となったかつての盟友を倒すため、バットマンはトゥーフェイスとの対決に臨むのだった。

善と悪、選択を迫られたトゥーフェイスの決断は!?

二重生活の男!
The Man Who Led a Double Life
Detective Comics #68 (Cover: Jerry Robinson) ©DC Comics.
前の話で善悪の判断を迫られたハービーが、本格的にトゥーフェイスとしての人生を突き進むことになる物語。コインの表裏で物事を決めるトゥーフェイスは、その外見同様に光と闇のコントラストがはっきりしたキャラクターだが、それゆえに自分の判断に思い悩む場面や、ギルダへの愛情に葛藤する場面は、二面では割り切れない人間としてのハービー・デントの複雑さを感じさせる。この号では、警察と消防に分かれて野球の親善試合が行われるが、バットマンは警察側で登場している。しかも、そんな警察だらけの場所に乗り込んでくるトゥーフェイスの大胆さにも驚かされる。
(DETECTIVE COMICS #68/1942年)
あらすじ
トゥーフェイスの今後の生き方を左右するコイントスの結果、銀貨は床に挟まり倒れなかった。善と悪どちらを選ぶのかバットマンはハービーの判断に委ねるが、彼は決断を先延ばしにして銀貨を胸ポケットへとしまう。そこへ踏み込んだ警察官が銃弾を放つが、トゥーフェイスは胸の銀貨に救われる。彼はこれこそ運命だと判断し、悪の道を歩み続けることを決心した。その後もバットマンに挑戦するかのように犯罪を続けるトゥーフェイスだったが、その結果彼を恨む人間も現れるのだった。

コインの結果は本人の意思?

半面悪
Half an Evil
Batman #234 (Cover: Neal Adams) ©DC Comics.
ブロンズエイジにおけるトゥーフェイスの初登場となった本作は、デニス・オニールとニール・アダムスの黄金コンビによって描かれた。善悪の間で葛藤するトゥーフェイスがコインに頼るとき、答えが二択に限定されている分、読み手が展開を想像しやすくなる。それと同時に選択されなかったもう一つの結果にも考えを巡らせる。コインのどちらの面を描くかでキャラクターが変わってくるのは、トゥーフェイスの歴史でも常に見どころの一つで、描かれるコインの結果は、本当はトゥーフェイスの本心を表しているようにも感じられる。
(BATMAN #234/1971年)
あらすじ
ゴッサムで行われたパレードで、巨大なバルーンが一つ盗まれた。目的のわからない盗難事件に警察が戸惑う中、博物館から古い船乗りの手記が盗まれる。それぞれの事件に「2」のキーワードが関連していることで、犯人がトゥーフェイスだとあたりをつけたバットマンだが、これらはただの言葉遊び以上の意味があるのではないかと疑っていた。トゥーフェイスが隠された財宝を狙っていることを突き止めたバットマンは、古船でトゥーフェイスとの戦いに挑むのだった。

トゥーフェイス vs. ロビン

似た者同士』/『セカンド・チャンス
Half an Evil
Batman #410 (Cover: Steve Geiger) ©DC Comics.
フランク・ミラーが『イヤーワン』でバットマンの一年目を描いた直後、マックス・アラン・コリンズはジェイソン・トッドが二代目ロビンになるまでを描き出し、続けて彼の親の出自にも切り込んだ。ジェイソンの父とトゥーフェイスとの関係を描いた本作は、新ロビンに希望を託すバットマンがトゥーフェイスの手から彼を守り抜こうとする姿が描かれる。ジェイソンの母が登場する悲劇の名作『デス・イン・ザ・ファミリー』に対して、ジェイソンの父の存在が明かされる本作は、希望のある終わり方なのが対照的。
(BATMAN #410-411/1987年)
あらすじ
新しくロビンとなったジェイソン・トッド。バットマンの指導のもとメキメキと実力をつけていくジェイソンだったが、バットマンにはある懸念があった。この数ヶ月、バットマンとともに様々な敵と戦ってきたジェイソンは、トゥーフェイスについてだけは情報を持っていないことに気づく。バットマンはトゥーフェイスの出自や情報を伝えるが、ちょうどそんな時、警察にトゥーフェイスの犯行予告が届いた。現場を押さえトゥーフェイスを追い詰めるバットマンだったが、ロビンを人質に取られ、やむなく逃してしまう。なんとか無事にロビンを取り戻し、ケイブに戻った二人だったが、その晩コンピューターでトゥーフェイスを調べていたロビンは、衝撃の事実を知ってしまうのだった。

トゥーフェイスを映像で見るには

アニメシリーズに登場

・アニメ『バットマン』

リドラーと二大ヴィランで初実写化

・映画『バットマン フォーエバー』

https://www.amazon.co.jp/dp/B00FIWIYSK

初めて実写で描かれたトゥーフェイスをトミー・リー・ジョーンズが演じた。映画内ではトゥーフェイスの出自の紹介は一瞬で、あくまで「バットマンを始末したがっているギャングのボス」という単純な性格づけで登場している。映画自体も前作までのダークな要素を抑え、カラフルで明快な作りになっているため、ゴールデンエイジの、映画的な演出の効いたシンプルなトゥーフェイスに近いように見える。コミックスではシルバーエイジにはほとんどトゥーフェイスの登場はないが、ガードナー・フォックスやジョン・ブルームがトゥーフェイスのストーリーを描いたら、本作のようなテイストになっていたかもしれない。トミー・リー・ジョーンズは、役作りのためにコミックのトゥーフェイスについて研究したようだが、ボブ・ケイン自身からアドバイスをもらったこともあり、最終的に「二面性」の部分にフォーカスして演じることを重視したという。

光の騎士となり、バットマンと共闘

・映画『ダークナイト』

光の騎士と呼ばれ、ゴッサムの希望となる検事としてバットマンやゴードンと共闘するが、ジョーカーの凶行の果てにトゥーフェイスとなってしまう。(演:アーロン・エッカート)

トゥーフェイスが戦国武将に

・アニメ映画『ニンジャバットマン』

近江国を支配する大名、双面武神トゥーフェイスとして登場。明智光秀をモデルとしている。(声:チョー)

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