©1940 DC Comics.
バットマンの初の単独シリーズ、その記念すべき第一号にて初登場したキャットウーマン。老婆に化けての登場がバットマンとの初めての出会いとなった。今作ではまだ猫のコスチュームも身につけておらず、「キャット」と名乗る怪盗に過ぎなかったが、バットマンの気持ちを大きく揺さぶり、今後何十年にもわたって続く二人の関係を示唆するような結末となった。
ライター:ビル・フィンガー
アーティスト:ボブ・ケイン
あらすじ
大富豪トラバース夫人による、豪勢な船上パーティーが開催される。このニュースがゴッサムの犯罪者たちの興味を引きつけ、必ず事件が起こると確信したブルース・ウェインは、ディックを給仕として忍ばせた。トラバース夫人の人間関係を探ったディックは、彼の甥が「キャット」なる人物と何かを企てていることを知る。そんな時、トラバース夫人の高価なエメラルドのネックレスが盗まれ、さらに船上はギャングに占拠されてしまう。バットマンとロビンはギャングを一網打尽にするが、ネックレスの行方はわからぬままだった。「キャット」の正体を暴き、ネックレスを取り戻すため、バットマンとロビンはある作戦を実行する。
キャラクター
©1940 DC Comics.
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ポイントと解説
現在に至るまで何十年にも渡ってバットマンのコミックスに登場し続け、単なるヴィランでも単なるファミリーでもない、バットマンにとって最も重要なキャラの一人となったキャットウーマン。今まで様々なコスチュームの変遷を繰り返してきたが、初登場時の本作では高級ネックレスを狙って老婆に化けて登場した。バットマンに正体を暴かれてからは緑のドレス姿になっており、初期キャットウーマンの私服の定番としてその後も何度か披露している。その後もコスチュームにはマントやタイツに度々緑が使われており、黒や紫と並んでキャットウーマンを象徴する色の一つであった。
敵を倒したり捕らえたりして一件落着を迎えることが多かったバットマンのコミックスだが、本作ではその素敵な瞳に魅入られ、バットマンが「うっかり」キャットウーマンを逃している。しかも、そのことをロビンに問い詰められても、とぼけて夢想する始末。コミカルで珍しい結末だが、その後のキャットウーマンの登場を示唆するような終わり方でもあり、実際にキャットウーマンは『BATMAN #2』『BATMAN #3』で連続して再登場を果たし、次第に人気キャラクターの一人となっていく。
本作が収録されている『BATMAN #1』は1940年の春に発売されたバットマン初めての単独誌の第一号で、全5話が収録されている。他に、バットマンのオリジン・ストーリーの再掲載、ジョーカーの初登場話、モンスターメンを繰り出すヒューゴ・ストレンジの2度目の登場話、そしてジョーカーの再登場話が掲載された。ジョーカーとキャットウーマンという、バットマンを代表する二大キャラクターの初登場号であり、両者は次号の『BATMAN #2』で早速初共演を果たす。
名場面集
©1940 DC Comics.
収録
オリジナル・イシュー
©1940 DC Comics.
収録:BATMAN #1
カバーデート:1940年春号
カバーアーティスト:ボブ・ケイン、ジェリー・ロビンソン