©1942 DC Comics.
『ジキル博士とハイド氏』をモチーフに誕生したバットマンの新ヴィラン、トゥーフェイス。今作は彼の初登場となったストーリーで、正義の検事ハービー・ケントが、二面性を持った悪党トゥーフェイスとなり、ゴッサムシティで暴れまわる様が描かれる。
ライター:ビル・フィンガー
アーティスト:ボブ・ケイン
あらすじ
ハンサムなゴッサムの検事ハービー・ケントは、マフィアのボス、モローニの裁判を担当していた。事件の証拠として両面が表になった銀貨が提示された時、モローニはハービーの顔に硝酸をかけ、顔半分を醜くただれさせてしまう。自分の醜い姿に怒りと憎しみを募らせたケントは、銀貨の片面に傷をつけ、物事の判断をコイントスに任せるトゥーフェイスとなっていく。悪党となったかつての盟友を倒すため、バットマンはトゥーフェイスとの対決に臨むのだった。
キャラクター
©1942 DC Comics.
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ポイントと解説
今作で初登場したトゥーフェイスは、見た目もオリジン(誕生秘話)も現在のものと大きく変わっておらず、登場当時から完成されたキャラクターだった。トゥーフェイスの緑に変わった半面と、オレンジと紫のツートーンのスーツは、洗練された不気味さを漂わせている。作者のボブ・ケインは、トゥーフェイスの造形を小説『ジキル博士とハイド氏』から着想を得ていると語っており、冒頭では、トゥーフェイス自身がその本を抱えている描写も描かれた。
銀行強盗を繰り返しながらも、その儲けを私欲のために使うか、社会のために寄付するかを厳格にコインで決めるトゥーフェイスの姿は、単なる悪党でも義を持ったダークヒーローでもない微妙な均衡のキャラクターであり、コミック内でもゴッサム市民の評判を二分している。
終盤ではバットマンとトゥーフェイスが映画館で対決するシーンが描かれるが、スクリーンには残忍なトゥーフェイスが映し出される中、バットマンが目の前のハービーを説得するという、トゥーフェイスの二面性を強調する演劇的な演出がなされている。
最終的にバットマンとトゥーフェイスの戦いの結末はコイントスに委ねられるが、床に挟まったコインは倒れず、トゥーフェイスの決断は次々号の『二重生活の男!』(DETECTIVE COMICS #68)に持ち越されることとなる。
名場面集
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